「猫を拾いに」 |
2018年7月12日
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川上弘美さんのSFもありな短編集
「猫を拾いに」は文章が穏やかで美しいことでした。
「はにわ」のゲイの息子と
そのことに罪悪感を持つ母親の
たがいに思いやる優しい関係がいいなぁと
親子の幸せを祈りたくなりました。
「猫を拾いに」では政府広報にいつも印刷されているという
人と人との絆をまもるために、贈り物は大事なのです。
なんてほのぼのとした街なのでしょう。
「金色の道」はぬりえのように
人の顔の色が感情によって変わり
複雑な思いがあるとグラデーションに
なったりして見えるというのです。
現実の世界でもホントに見えている人がいるような気がします。
最後の「信長の怨霊」は笑ったわらった!
一個いっこのお話が可愛くて
こんなことホントにあったら
なんて考えるとワクワクしました。
壇密さんが独特の言葉で
解説をかいているのですが、
「このお話達が好きなんだなぁ」って
よぉく伝わってきました。
幻想的な「ミンミン」では小さい人がでてきます。
小さいおじさんの話はけっこう好きです。
このひとつ前に読んだ
アンソロジー「華やぐ女たち」の
川上弘美さん「庭のくちぶえ」でも
「ちいちゃなおじさんは実在するんだ!」
って楽しい気分になりました。
佐野洋子さんの「これはペテンか?」は
ほのぼのとした老いがあります。
岡本かの子さんの「老妓妙」は
老いてなお、粋な女性がかっこいいのです。
林扶美子さんの「晩菊」は
平行して年をとった男と女が
過去に熱い恋をしていた頃の
昔を懐かしむ会話をしながら
胸のうちではたがいに洞察し
値踏みする感じがおもしろかったです。
片山廣子さんの「子猫ノハナシ」が
童話のようでとても好きでした。
夢の世界に旅立つように
生涯を終えられたら
なんて幸せなんだろうって、憧れます。
投稿者 rin5chan : 2018年7月12日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »