「よるのふくらみ」 |
2017年12月14日
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窪美澄さんの「よるのふくらみ」読みました。
圭祐と裕太という兄弟と幼馴染のみひろの
三人が順に一人称になる六つの章で
それぞれの心情が語られていきます。
圭祐と裕太がみひろを好きになる。
同性の兄弟は生まれて初めての
ライバルなんだなぁっとしみじみ考えました。
圭祐と裕太は互いへ根強い
コンプレックスを持っています。
ひとつの出来事が圭祐と裕太では
思い出の中で違った出来事になっていて
ライバルを羨んだり
疎ましいと感じたり。
そう考えると圭祐と裕太は
みひろが好きと言うより
ライバルに勝ちたいがゆえに
ライバルが欲しがっているみひろのことを
意地でも欲しかったのじゃないかな。
なんて読み方をするのは私だけでしょうか。
子供の頃に出会った父の愛人への恋心が
圭祐の人格に強く影響したと思うのです。
誰にも遠慮はいらないの。
なんでも言葉にして伝えないと。
どんな小さなことでも。
幸せが逃げてしまうよ。
愛人が彼に言った言葉です。
恋するキモチってのは
どうにもコントロールできないもどかしさがあります。
誰もが恥ずかしくって
みっともない恋の思い出はきっとありますよね。
「ふがいない僕は空を見た」もそうだったけど
窪さんの世界は人間臭くて切なくて好きです。
投稿者 rin5chan : 2017年12月14日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
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