「手のひらの京」 |
2017年7月14日
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綿矢りささんの「手のひらの京(みやこ)」は
京都の街並みや風物詩、習慣とともに
京都に住む人の気質が描かれています。
三姉妹の話し言葉は、京都弁の
はんなりイントネーションで読みました。
綿矢さん自身が京都のご出身なのですね。
私も行ったことがある町や河原の
四季折々の風景の描写が美しいのです。
八坂神社、鴨川、嵐山、四条通り、伏見稲荷
祇園祭、納涼床などが描かれていて
大文字焼きは地元の人は見るけれど
「火ィ点ける人が間違えて“大”を
“犬”にせえへんかな」などと言って、
十分ほど見たら家に帰ってお風呂に入る。
いつでも見られると思うと
そんなものかも知れません(*^▽^*)
綿矢さんらしい文章のリズムに笑えました。
ある章の始まりが重々しく
京都の伝統芸能「いけず」は
先人のたゆまぬ努力、
また若い後継者の日々の鍛錬が功を奏し、
途絶えることなく現代に受け継がれている。
最初、能や浄瑠璃みたいな和文化?
え?知らないけど?
って思ったら
コンジョ悪のことなんですね^^;。
三女は感受性が強く、
谷の底で長い年月を経ても
未だ風化されず密かに残っている、
涙の気配がいまもなお、まるで
誰かが泣いているみたいに
生々しく部屋全体に広がって行く。
京都には妖怪がいると言います。
そして、三女が友人に話します。
「私は山に囲まれた景色のきれいな
このまちが大好きやけど、
同時に内へ内へとパワーが向かっていって、
盆地に住んでる人たちを
やさしいバリアで覆って離さない気がしてるねん」
私は金沢の旧市内の中心部に
生まれ育ったのですが
人目を気にする窮屈さや
しばられ感のようなものが
根強くあったので
文化や気質が似ていると感じました。
小説の中では、着物の描写も多く
長女が出かける間際に着物を
選べなくて部屋に絹の海を作る様子は
何かわかるわかるでした(*^▽^*)。
家族がお正月に晴れ着を
着ている居間の風景を
【それぞれの着物は、彼女たちが
普段見せているのとは違う魅力を
引き出すのに成功していた】
何と雅やかなことでしょう。
好きなお話でした。
今、ちょうど京都は祇園祭なのですね。
17日は山鉾巡行と。
コンコンチキチン♫•*コンチキチン¨*•.¸¸♪✧
投稿者 rin5chan : 2017年7月14日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
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