「クラウドガール」 |
2017年6月20日
|
金原ひとみさんの「クラウドガール」を
図書館で借りて読みました。
知的で常識のある姉と
性に奔放でだらしない妹が
母親に、そして互いに対しても
複雑な感情を持っています。
亡くなった小説家の母親は子供には
興味がないという人でした。
甘え上手の妹は姉に母親の代わりを求め
その安らぎを好んでいたのですが
ある日、関係を拒絶しはじめる姉にとまどいます。
姉妹の記憶が夢だったのか現実だったのか
途中読んでいる方もわからなくなります。
姉が妹に持つ感情の特徴的なシーンが
【嘘を言い続けているとそれはやがて
本当にあったことだと錯覚を起こす。
その錯覚はやがて錯覚でなくなるような気がする。
妹は「思考回路がブツ切れなのだ」】
最終は、情報化社会のトリセツみたいでした。
クラウド(cloud)は雲。
ネットワーク図を表現するときに
イメージしにくい「モヤモヤ」したものや
人とデータを共有するグループウェアのようなことなのだそうです。
何が“真実”で何が“想像”なのかが最後までわからず
母親の死の真相はどうだったかは
読み手の解釈次第で死因が変わる
ミステリーというかホラーっぽくもありました。
姉妹は母親に愛されたかったのだということが
伝わってきて、その切なさや心細さを思いはかり
心が痛くなりました。
どんなに便利な時代になっても
SNSで瞬時に仲間と繋がれても
人は“ふれあい”や“ぬくもり”がないと
生きてはいけないんだなぁとも感じました。
投稿者 rin5chan : 2017年6月20日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
« 栗よりうまい十三里|メイン|仲良し姉妹ニャン☆” »