「イノセント」 |
2016年12月30日
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島本理生さんの「イノセント」は、
闇と傷がえがかれています。
ヤサオトコの真田と主人公の比紗也の
出逢いから物語は始まります。
何度もどんでんどんでんが続き
主人公の女性がありえないくらいに辛いめにあうのです。
幸せな描写があると
「次は、きっと不幸になる」
「どんな悲しみがくるんだろう」と
ドキドキし通しでした。
着地に救われました。
退廃的ではあるけれど清々しいキブンで読了。
最後の数ページは、泣いたないた
読みだしたらとまらなくって一気に読みました。
ネタバレになるのでどうかかわってくるかは
かけませんがあの「3.11」がからんできます。
真田が思いをめぐらせます。
自分はどこに帰るのだろう。
たとえば親や親戚を失い、居心地の良い家も失くし、
故郷からも遠ざかり、心の底から絶望したときに。
目をつむっていたのだと気付く。
比紗也に対してだけじゃなく、
あの日以降の出来事に。
自分がのんきに楽しく生きている地平線上で、
今も不安をかかえていることに対して、
その罪悪感から見ないようにしているものがたくさんあったことにも。
日々、「帰る場所」があることはとても当たり前で
温かく柔らかい寝床があって横たわることができるのも
普通のことと過しているところがあります。
ですが、平穏は奇跡のようなことなのだと
あらためて感じました。
罪悪感からの無関心にはならないでおきたいものです。
今年は、日本のあちこちで大きな地震や台風
びっくりするような豪雨
さらに、この年の瀬に大火事や地震。
その都度、その地域に住まいされる
新郎新婦OB様やご親族はいらっしゃらないかと
思いをめぐらせます。
訪れる2017年が穏やかな年でありますように
そして、皆様に幸せが訪れますようにと心から祈ります。
投稿者 rin5chan : 2016年12月30日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
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