「平凡」 |
2019年10月4日
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無数の選択から成り立っている人生。
大なり小なり「たられば」を思うことがあると思うのです。
角田光代さんの「平凡」は、もしあの時
別の道を選んでいたらというお話でした。
表題作の「平凡」では、ずっと昔に
理不尽な別れたかたをした男性の人生を
「ど平凡であれと呪い続けた」と言う女性。
なんと強烈な!
が、それは「波乱万丈なんかじゃなく
平凡に生きていてほしい」と願いに近い
感情だったというのです。
別れた男性の今の暮らしが穏やかで
あって欲しいと知らず知らず願う女性にうるっときました。
むっつの短編集には、妬み、僻み、
恨み、嫉み、見栄、未練と人間味ある感情が
鮮やかに描かれているのですが
重たくもドロドロもしていなくて、
やっぱり今生きている時間が現実なのだ
と、読後感は清々しいものでした。
自分がこの選択をして正解だったと
他の誰かの評価じゃなくって
自分自身で思えたらと素晴らしい人生
だったと言うことですかね( •ॢ◡-ॢ)-♡。
表紙のデザインが牛乳石鹸の青箱の
猫ちゃん、決して平凡ではないですね。
投稿者 rin5chan : 2019年10月4日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
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