「かがみの孤城」 |
2019年5月13日
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辻村深月さんの「かがみの孤城」は傑作でした。
以前、途中まで読んで女子中学生のいじめが
陰湿で苦しくなってリタイアしたのだけど
気になる・・・ファンタジー系っぽいし、、、
で、再チャレンジ、やはりいじめの話は苦手ですが
描写が良き塩梅というか読みやすいのです。
物語の中盤で母親の思いにもなりました。
引きこもりで登校拒否の我が子への
心配は、苛立ちや怒りもあり
度々、自身を責めては悩み
時には機嫌をとったり
腫れものにさわるような態度であったりの
母親の戸惑い、葛藤が痛いほどわかるのです。
主人公の母親が我が子から辛い体験を
告白された時、我が身に起こったことより
苦しく切なかろうと察しました。
その後の子供を守るための毅然とした姿は
泣けてしかたなく両親の決意は勇気あることでした。
物語のトリックについては
早いうちから気がついていたことだったので
(ネタばれになってはいけないからかきません^^)
登場人物に知らせたような気分にもなりました(子供か!)。
終盤では「お話だから」と自分自身に
言い聞かせるも涙が洪水のようにあふれました。
人間関係の構築がうまくできないや
無関心や言葉の暴力や様々な問題、
矛盾に悩んでいる子供達にぜひ読んでもらいたいです。
「助けてくれる人は必ずいるから、大丈夫」
かつて私自身が通ってきた厳しく理不尽な
時間がフラッシュバックすることもありました。
ですが、554ページの中には色んな力強い
メッセージがこめられていて
この本に出会えてよかったと思えました。
大人も楽しめる素晴らしいファンタジーです。
投稿者 rin5chan : 2019年5月13日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »