金澤syugen
金澤syugen オフィシャルサイト
オフィシャルサイトはこちら 金澤syugen オフィシャルサイト
最近のエントリー
最近のコメント
アーカイブ
ブログ
 
「口笛の上手な白雪姫」
2018年3月15日

急にあたたかくなって
春が芽吹く時のはぜる音が
聴こえてくるようです。ワクワク

声や音にまつわる八つの短編集
「口笛の上手な白雪姫」を読みました。



「先回りローバ」では

「僕の声って、どんな形?どんな色をしているの?」

そんな風な不思議系のお話が続きます。

「仮名の作家」では

何が書かれているかはたいした問題ではなく、
私にとって重要なのは、どんな声で語られているかだった。


声は、言葉以上に
その人の本質や思いが感じられます。

「一つの歌を分け合う」が一番
好きなお話でした。

最後の一音が劇場の高みに響いてゆき
やがて一点に吸い込まれていった。

ミュージカルを観たあとの
感動と高揚感を思い出します。
客席もひとつになるような
あの幸福感ったらないです。

小川洋子さんの作品は直木賞の
「博士の愛した数式」が
あったかくて優しくて
不思議で大好きなお話でした。
今回の作品はさらなる
秘密めいていて幻想的な
お話が綴られています。

2018年3月15日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「人生の旅をゆく 3」
2018年3月10日

卒業入学のシーズンですね。
新郎新婦様のお子様のことを
「泣かないで園に行けるかな^^」
「ランドセルは何色にしたのかな」
などととくにあれこれ思う季節です。
 



吉本ばななさんの「人生の旅をする3」を
読んで好きだと思った言葉達です。

仕事は人生に伴走してくれる
友達であり、なによりも自分以外の
人のためにだけするものだ。
お金は重要ではない。
仕事をしている自分を見て、
だれかが励まされる。
自分が与えた影響が
だんだん波みたいに伝わって、
遠くできれいに揺れているのを
見るためだけにするものだ。


ですね、きっとそうですね。
いつもばななさんは
うまいこと言うなーです。


感動したこと素敵だと思ったことを
言葉にできる幸せについては

ちょっとくらい気持ちが重くて、
のどで言葉が突っかかっても、
やっぱりいいことは
思っているうちに相手に
どんどん言った方がいいんだな、と思う。

照れがあったり
わかりきったことだから
なんて
思わないでいちいち言葉に
することは大切で素敵なことなんですね。


そして一番好きだと思った言葉です。

だれかを好きになるとき、
あるいは遠くのだれかに
想いをはせるとき、私達は
必ず祈りに似た感情を抱く。


金澤syugenの事務所では
新郎新婦OB様達のことを
とてもよく話題にします。
便りのないOB様達のことも。
「どうしておいでるかな^^」と
言葉にする時、私達は
幸せだったらいいな
幸せでありますようにと
祈りの想いをこめているようです。

2018年3月10日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「ヲトメノイノリ」
2018年3月5日

石田千さんの小説を初めて読みました。
心地良くゆる~いお話達でした。



小説って自分と違う人生が
経験できる楽しみがあって
時に、自分の人生を投影することがあります。
「うぐいす」は、さよさんが結婚を前に
昔、別れた男性との再会で心が揺れます。
そんな、女性の感傷になんだか
遠い日を思い出したり出さなかったり・・・・・。


表題の「ヲトメのイノリ」は
落語を聞いているようなテンポが
軽快でとても楽しかったです。
70歳を過ぎた女性がピアノで
「乙女の祈り」を弾けるように
なりたいと手習いを始めます。
そのピアノの先生であるぐうたらな
ゆり子さんはやめたい、苦しくなった。
と、悩みます。

「ぜんぜん、何にも弾けないのに、
もうじぶんだけの音楽が、しっかりわかっているの。(略)
幸せそうで、あったかくて、強くて。(略)
毎日毎日、部屋のなかにこころの
きれいな象がみっちり増えてゆくみたい。

ネタバレになるからオチは
かけないけれどゆり子さんも
影響を受けてゆきます。
みんなが応援したくなって
元気になれるそんなお話でした。


沢山、感動しました。
石田千さんこれからチュウモークです。

2018年3月5日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「嘘」
2018年3月1日

年末に図書館で予約した村山由佳さんの
「嘘」の順番がめぐってきて読了できました。
 
 
 
四人の中学生がそれぞれに主人公になります。
情景の描写も繊細でやはり村山作品は
好きだなぁと思うのです。


今回、サイキックの要素もありました。
美月は
 
人の魂が発するオーラもみな、
空間を震わせ、それぞれに色や音を持っている。(略)
波長が合う、合わない、という表現は、
単なる比喩ではないのだ。(略) 
相手の魂を、色、音、印象や匂い、
肌触りになどの別によって仕分けしていた。
 
私にはそんな能力はありませんが
そういう能力のある人のことは理解できます。


ストーリーは残虐で救いようが
ない場面も度々あって
辛いと感じることが多くありました。
それでも村山作品「星々の舟」の
あとがきで「戦争を題材とした
辛い話をハッピーエンドに
書きたかった」的な発言を
思い出し「きっと」と信じ
希望ある結末であることを祈り
ドキドキしながら読み進めました。
 
 
納得いく着地で満足しました。 
ただ、今回の作品はかなり過激なので
心が弱っていたり妊娠されている時は
読まないほうがいいのかもしれません。

2018年3月1日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「本を守ろうとする猫の話」
2018年2月24日

一昨日は猫の日でSNSでも猫話題が
多くて楽しいことでした。


夏川草介さんの「本を守ろうとする猫の話」を
犬好きの友が貸してくださいました。



優しいファンタジーで、主人公の林太郎の
おじいちゃんの言葉が深かったです。


本には力がある。
力のあるたくさんの物語を読めば、
お前はたくさんの心強い友人を得ることになる。


あのお話し好きだったや
心に残るあらすじがあったり
勇気づけられた言葉を記憶している本があります。


本を読むことは、山に登ることに似ている。
ときに一行一行を吟味し、
何度も同じ文章を往復して読み返し、
頭をかかえながらゆっくり進めていく読書もある。
その苦しい作業の結果、ふいに視界が開ける。
どうせ登るなら高い山に登りなさい。絶景が見える。


読む本によって速度がかわって
しっくこないと戻って戻っての読書だけど
あ、良かったんだ、そういうのも。
と、思えました。


猫のトラに「ありがとう」という
シーンではふいに大泣きしました。
私も死んだ猫のモコに逢えたら
「ありがとう」と言いたいなって。
そして、もう一度、あのモフモフの
おデブを抱きしめたいっ。


この物語にでてくるトラは
抱きしめたくなるような
可愛い猫ちゃんではないです。
翡翠の瞳を持つ気難しそうな猫。
表紙のイラストの愛らしい猫とは
イメージ違うんだなぁ。


やはり、紙に印刷された本で読むことが好きです。

2018年2月24日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「降り積もる光の粒」
2018年2月19日

角田光代さんの「降り積もる光の粒」は
旅について書かれたエッセイでした。
呑気だったり危なげだったりしながらの
作者の気づきが綴られています。


 
あ、そのワクワク感わかる!と
感じることも多々ありました。


時に、ほのぼのっと
緩やかに流れる時間が描かれ
叙情的で美しくて夢見心地になれました。

すがすがしいほど開けているからか、
時間の速度も変わったように感じられる。
ゆったり、おおらかに時間は流れはじめる。


私までおおらかな大地を漂っているような気分になれます。


第四章は、ぐっと深刻になり
たくさん泣きました。
マリとインド、パキスタンへ
ボランティアに同行し女性の窮状を
取材する旅の話になります。
文字にすることはとてもとても
おどろおどろしいようなことが
今も発展途上国にはあって
それは、現地の人にとっては
「母もそうだったから」という
意識で流されてしまうのです。
とても衝撃的で重たく受け止めました。
 

今、開催のオリンピックでも
人種差別や女性差別を受けた選手の
努力はいかばかりだったのかと・・・。
心から応援します。


最終、東日本大震災後の三陸の旅の
話には大きな希望を感じました。

けれど旅を終えたとき、私たちは気づくのだ。
それらが、きらきらと光を
発しながら自身の内に降り積もっているのを。


と、印象的な言葉を残してエッセイは
とじられています。
ぎゅっといい話がつまっていました。

2018年2月19日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「運命はこうして変えなさい」
2018年2月13日

林真理子さんのエッセイ
「運命はこうして変えなさい
賢女の極意120」はたいがい
毒舌なんだけどクスッと笑えたり
なるほどねぇと思えたりしました。


 
一番印象に残っているのは
 
女というのは、
一五歳の時をどう生きたかで、
その後の人生が
すべて決まってしまう。


と言いこの呪縛から逃れる方法は
「私は可愛かった(略)」
と自分にも人にも言い聞かせることで
本当にそう思えてくると。

現在の地点から過去を立て直す。
すると今の自分もぐっとよくなってくるという。


こういう考え方は、好きです。
勇気が出るってもんです( •ॢ◡-ॢ)-♡




そして、もう一個好きだと思ったのは

やらないより、
やった方がずっとマシ。
ゼロから始めて、
0.01だけしか
得られなかったとしても、
ゼロよりもずっとマシだ。


これはいい言葉です。
習い事や新しいことを
年齢や忙しさのせいにしがちだけど
この「やったほうがマシ」の気持ちには
これからも後押しされそうです。


 

大笑いしたのが

女というのは、
お姫さまになる
一瞬のために、
生命を懸けるものだ。

ジミ婚というのが大嫌いである。


金澤syugenの結婚式は、
スポットライトをあびる
ハデ婚はありませんが
清楚で上品であたたかな
そして何より親御様や
お世話になったかたがたに
感謝の思いをキチンと伝える祝言です。
美しいお姫さまになるお手伝いを
いたしております♫•*¨*•.¸¸♪✧。

2018年2月13日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「鳥肌が」
2018年2月7日

硬質で重たげなにび色の空に
圧力を感じています。
今年の雪には自然の猛威ってのを
突き付けられた思いで怯えています。


子供達だけはこの雪で大喜びです。
まあ嬉しそうに分厚い雪の綿にダイブだったり、
道でも降ったばかりの雪に
得意そうに足跡をつけているのを見ると、
私も子供のころは大雪って
ワクワクしたなぁと思い出しました。


子どもの頃はなんてことなかったのに
大人になって怖さがわかるもの
ありますよね。
その逆もあります。


穂村弘さん「鳥肌が」は子供の頃、
怖かったけど大人になると
なんてことなかったりすることや
作者の豊かな想像力ゆえの怯え
他人との許容のズレや
理解し難い怒りのツボ
自分のこだわりや魔がさす瞬間
ゾッとする話、霊的な経験、
自分の物忘れなどなど
鳥肌が立ったことがおもしろおかしくかかれています。



表紙にも遊び心あってエンボス加工で
鳥肌仕様、不気味な挿絵は目をこらしても
「なんのこっちゃわからん」でした^^。
このかたのエッセイはリズムがあっておもろしろいのです。


私自身にも心当たりがある
ほんの少し怖いような話が続きます。
友の話というとこで、夜半に
上司と泊まったビジネスホテルの
一室で目覚めたら、テーブルの上に
髪の毛の塊があって絶叫したというもの。
この話にはオチがあってさらに
笑えるのですが、それは
ネタバレになるのであえてかきませんね。


これは、我が家の出来事。
着物で過して家に帰って
髪をほどいて家のことをしていたら
洗面所から「ぅわーっ!」という
坊主のびびった叫び声!
見に行くと置きっぱなしにしてあった
私のヘアピースに驚いていたのでした。
なんの心の準備もなく
洗面所に大量の毛束
んーー怖かったね。
鳥肌たつよね。
ざわつかせた悪い母さんでした。


みなさま、大雪にはどうぞ引き続き
ご注意くださいませ。

2018年2月7日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「吹上奇譚 第1話」
2018年2月3日

吉本ばななさんの「吹上奇譚 第1話」は、
ばななさん曰く哲学ホラーと。
ホラーと言うよりほのぼのとした
スピリチュアルファンタジーでした。



主人公が持つ「現実を夢で知る夢見」という能力。
そこまではっきりしたものでは
ないけれど目覚めた時、夢から
メッセージっぽいもの感じるとる
ことってありますよね。
例えば、お昼間なんでもないと思えた
ことが夢に出てきて
『気にしてないフリしてたけど
案外と気にかかってたんだ』のような。


ミミとこだちが育った町には
異世界に繋がる出入り口があり、
異星人が普通に人間の世界で生活しているのです。
宇宙人と人間が結婚してハーフや
クオーターがいるという異類婚姻譚が
なにごともなく成立しています。
立場や世界が違っていても
理解しあえば穏やかに暮らしてゆけるよ
というメッセージを感じました。


ミミがサイキックと言われる人に相談に行くのです。

「今日は植物園に行って
当時と変わらない懐かしい木々に触れ、
昔の明るい気持ちを取り戻してくださいね。
それで正しい流れができますからね。
行くだけでいいのです。」


と言われます。

ああ、こういうのあるって思いました。
私は、富樫の薔薇園に行きたくなります。
豪勢に花の咲いていない時もです。
そこは、凪の世界なのです。


あと、みずみずしい柑橘系の果物についても
度々、描かれていて

柑橘をむいたときのぷしゅっという勢いのあるしぶき

ばななさんの柑橘愛が伝わってきます。



柑橘ファミリー大好きですから
この季節の楽しみでもあります。


読後、身近かな人を「あの人、異星人っぽい^^」とか
想像するのも楽しかったです。

2018年2月3日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「バースデイ・ストーリーズ」
2018年1月29日

村上春樹さんの「バースデイ・ストーリーズ」は
カット・メンシックさんのイラストも
ビビットで鮮やかなアートブックです。




孤独な主人公が二十歳の誕生日に
不思議な老人から願いごとをひとつ
叶えてあげると言われます。
たいがいのひとは
「美人になりたいとか
賢くなりたいとか、お金持ちになりたいとか」
言うけれど主人公の願いは
随分と違っていたらしいです。
ネタバレになるから、この先は
かけませんんが(^_^;)


あとがきの中で村上さんは
誕生日について、どんな人にも公平で
「特別な日」が年に一度だけ
与えられていることは
素晴らしいと書いています。


で、もうこんな歳になってしまったから
嬉しくないって人には
「誕生日は一年にたったひとつしかない。(略)
そのたぐいまれな公平さを
祝福しなくちゃ」と反論するそうです。
なんてロマンチストなんでしょう( •ॢ◡-ॢ)-♡
あとがきにあったかい気持ちになりました。

2018年1月29日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ