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「切なくそして幸せな、タピオカに夢」
2018年8月28日

吉本ばななさんの
「切なくそして幸せな、タピオカに夢」は
SoupyTangさんの挿絵が
可愛らしい絵本のようなエッセイでした。



父上との思い出、そして自身が親になり
子を思う気持ちが綴られていて度々泣きました。


野菜やおでんのネタだったり
猫ちゃんのいる台所の挿絵が
エッセイの思い出話を
とても身近なものにしてくれます。
例えば市場で父上がほうれん草を
買ってくると「ほうれん草づくし
メニュー」になるという思い出の
挿絵は、ほうれん草料理達を
さらにほうれん草がループして
囲んでいるのです(*^▽^*)。


子供が5歳の頃の母子の写真を
見つけて泣いてしまうくだりがありました。

もうこんなときは二度と戻らないのだと思った。(略)
あの写真を見た一瞬、私はあの時間の中にいた。

私も幼かったころの我が子を思い出し
ふわっと涙が出ました。


写真って大切ですね。
幸せな瞬間の写真を見返した時
巻き戻せる感じが愛おしいですね。

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「ののはな通信」
2018年8月24日

三浦しをんさんの全編書簡形式の
小説「ののはな通信」を読みました。



高校生の文通や授業中のメモは
確かに経験あるけれど今となっては
(ましてや他人の)興味はなく
いったんは読むのやめようとしたものの
図書館の紹介文を読んで
おもしろくなるのかな
以前に読んだ作品も良かったしな
図書館の長い順番待ちの末だしな
と、読み進みました。


無音で読書するのだけど
一章では、ドラマ高校教師の主題歌
(森田童子さんのぼくたちの失敗)がリフレインします。


二章では、ののとはなの再会があり
会えなかった時期の恋や様々な経験と
近況を手紙で語りあいます。
そして、大きな転機を迎え
連絡を取り合わないことを決めます。


三章で手紙はメールになります。
ののが亡くなった愛おしい人の
思い出をかくうちに
「文章って、変なものですね。
過去やあの世とつながる呪文みたい。」
文字にすることで偲ぶことも供養ですね。


はなが「ひとが手にすることのできる
最もうつくしいものは、
宝石でもお花でもなく、記憶なのです」と
若い日の二人を懐かしく振り返ります。


ののが「記憶が私たちを生かす糧」と
決して後ろ向きな意ではなく
愛し愛された記憶が人を前進させると語ります。


最終章では、宮崎駿監督映画の懐かしく
清らかな曲(手島葵ちゃんが歌う)が
耳の奥でリフレインしました。


自己評価が低く他力本願だった
はなの成長は力強く
年月が人をかえる感じと
それでいて縁のある人とは
また繋がれるものなのだと希望が持てて
終盤はとても感動していっぱい泣きました。


若い頃のひかり
歳を重ねて研磨されてゆき放つひかり
きっとあるよね、
そう思える一冊でした。

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「ブルーハワイ」
2018年8月20日

夏らしい表紙の青山七恵さんの
「ブルーハワイ」を読みました。



独立した六つの短編小説は
教師と教え子、同僚の女性、母娘、
姉妹、女友達、従妹、祖母と孫
などなどの女性特有のどこか
時に神経質だったりするあるあるが満載でした。


「ミクラ―シュの日」という小説が好きでした。
長く付き合っていて気のあう友人は
一番一緒にいてラクチンなはずなのに
旅先で喧嘩してしまう感じ
わかる、わかるのです!


楽しい旅になるようにと最初は
お互いにいい意味で緊張しているんだけど
旅も終盤に近付くとだんだんと
苛立ちが積もってきます。
で、喧嘩のきっかけもなんだかわかるのです。
暑さ寒さは人によって違っていて
そういうことで突発的に我慢できず衝突しちゃいます。


異国の地で孤独や恐怖もあって
さらにさらに過去にさかのぼって
ひっかりを自分でみつけては積もらせてゆきます。
主人公の胸の内には負の感情が渦巻くのです。


けれど、だんだんとクールダウンしてゆくと
反省もします。
寂しい気持ちになった時、あの子がここに
いてくれたらなと考えます。
で、おしまいには「走れメロス」をちらっと思いだした。


夏らしい表紙って思ったけどこれ水着じゃなく下着ですね。



裏表紙で気づきました(^_^;) 。

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「エンディングドレス」
2018年8月15日

蛭田亜紗子さんの「エンディングドレス」は
この時期に読むのにふさわしいお話でした。



最愛の人をなくした主人公の麻緒は
絶望感の中で自殺する準備を進めています。


ひょんなことから死に装束を作る
終末(決して週末ではない)洋裁教室に
通い陽気な3人のおばあさんトリオの
おリュウさん千代子さんしのぶさんと
一緒にエンディングドレスを
縫うための課題に取り組みます。


戦時中にはたちを迎えた千代子さんは

「娘ざかりのいちばん輝いていたころ、
わたしは着飾ることがいっさいできなかった。
せめて死に装束はとびっきりお洒落をしたいと思って(略)」

千代子さんの思い出が
せつなくて大泣きしました。
戦争中に青春時代を過ごした多くの女性が
経験されていることと思われます。
千代子さんの母親が浴衣だけはと
とってあったというその親心にも大いに泣きました。


『自分以外のだれかのための服を
つくってください』の章でも
千代子さんの優しさにキュンと泣かされました。


おリュウさんが最期の装いに選んだのは
真っ赤なビーズ使いのドレスで
それは、おリュウさんの好きな花に
囲まれた時にとてもひきたつ衣装でした。


主人公の変化していく様がとても手ごたえがあって

「服を一着完成させるごとに、
わたしはばらばらになった自分のパーツを
縫い合わせるように立ち直っていた」

というセリフが心に残りました。
主人公が人と接し交流することで
少しずつ再生していきます。
読後は爽やか気分になれました!

平和を意識することが多い
この時期にちょうどこの小説に
出会えたことに感慨深い思いでいます。
終戦記念日の今日、二度と戦争が
起こりませんようにと強く祈ります。


女性が自由に装うことができる
今の時代はとても幸せだと感謝します。
そして、ハレの日に花嫁様の
お手伝いができることは誇らしく
さらに丁寧に大切にと心から思いました。

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「消えて行く日に」
2018年8月12日

加藤千恵さんの「消えていく日に」は
記念日にまつわる九つのお話の短編集で
揺れ動く女性の心が描かれていました。



「消えていくものたち」がとても好きでした。
主人公はいくつなんだろう
と、はっきりしないけど
東京に路面電車が走っていて
高層ビルがなかった頃に恋をしていたようです。
主人公が喫茶店でハロウィンの日に
携帯電話で写真を撮りあう仮装姿の
若者達に驚きます。
恋をしていた頃を振り返り
あの時に携帯があったらあんなすれ違いは
起こらなかったとか思いを巡らすシーンは
わかるわかるです。
私も携帯のある時代とない時代と両方を
知っていますから。


主人公が過去を振り返って

後悔はいくつも残っているが、
後悔のない毎日だったのなら、
逆にこんなにも楽しめなかったのかもしれない。


いい言葉ですよね。


ネタバレになってはいけないので
核的なことかけないですが
好きな人や家族をいつもそっと気にかけて
見守っている感じにウルウルしました。
盆どきにぴったりなお話だと思いました。


「赤いプレゼント」の一文

つらかった記憶じゃなく、
幸せだった記憶のほうが、ずっと涙腺を刺激する。


別れた男性とのことを思い出す
切ないお話なんですけどね。
何気ない日常の中で起こった
幸せな出来事を思い出が愛おしくて
じんわり涙するってありますよね。


生きていると立ち直れないくらいの
絶望感に襲われることもあります。
ですが、すべてのことはいつも流れているのですよね。
新しい一歩を踏み出す気持ち大切にしたいです。


あと、表紙と裏表紙も好きでした。
パンプス・マニュキュア・フランスパン・
フライパン・ショートケーキとか日常の中に
あるもの達がきっかけで
時々、古い時間に思いをはせます。

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「放蕩記」
2018年8月5日

小学生の頃の夏休みは毎日
ソロバン塾がありました。
先生に「あなたを見ていると
ファッションショーみたいね^^
毎日違う服着て来て」と
言われたことを覚えています。
母手製のこましなデザインの洗濯機で洗える
綿のワンピースが多かったです。
母は、家にいる時はいつも縁側で
ミシンをかけていました。


公立の小学校なので普通に制服が
あったのですが学期ごとの始業式と
終業式には母親手製のフォーマルな服を
着せられていました。
そういう節目には正装させたかったようです。
我が母親はなかなかのトリッキーさんでした。



村山由佳さんの「放蕩記」はほぼ
自叙伝っぽくって母と娘の微妙な確執に
悶々としている主人公の姿に
自分と通じるものがあります。
なかなか強烈なお母様なのです。


物語の後半、年老いた母との
関係が変化してゆきます。
自分の記憶と合わせても悲しくなりました。


誰もがきっと持っている母親への思いに
色々と共感できて、心が痛くなることも
多いけどとても好きなお話です。

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「愛することばあなたへ」
2018年7月31日

瀬戸内寂聴さんの「愛することばあなたへ」は
素敵な言葉がいっぱいありました。



「健康の秘訣は、心にわだかまりを持たないこと。
言いたいことをじいっと我慢しているより
口に出して言ったほうが、
心のわだかまりがなくなります。」

大人になるってことは言わないで
心に蓋をするという選択が増えること
なのかなって思っていました。
ですが、確かにいい関係を
構築してゆきたいと願う人には
きちんと伝えたほうがいいですね。


もういっこ好きだった言葉です。

好運は、陽気でユーモアが大好きだ。
笑う門には福来たる。
世の中、無理にももっと笑って、
好運の連鎖反応が起きますように。

好運も幸運も笑顔でいたほうが
近寄って来てくれるってことですね。
幸せのスパイラル広がりますように( •ॢ◡-ॢ)-♡

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「いちごの唄」
2018年7月25日

峯田和伸(銀杏BOYZ)さんの曲を
題材にした岡田惠和さんの小説
「いちごの唄」は題名と表紙の印象で
ファンタジーなのかなと読み始めたら
せつなくもあるヒューマンラブストーリーでした。



自転車でブレーキをかけずに
急な坂をおりるシーンから物語は始まります。
私も小さい頃、近所の坂を世界一急で
大きな坂なんだって思いこんでいて
自転車でワンパクしては世界征服の冒険気分を味わってましたっけ。


主人公が父親に
「ストロベリーフィールドって知ってる?」
と、聞くと父親は
「おまえとビートルズの話が
できるようになったなったんだ」と
感慨深く言います。
確かに親子で音楽の話って嬉しいですよね。


登場人物がみんな優しくて
「銀河鉄道の夜」の章は大泣きしました。
ネタバレになってはいけないので
かけませんが物語の終わりに
「ストロベリーフィールド」ワードが
出てきて、ここでフワッと泣けます。


峯田さんの描き下ろしイラストもあり
一曲ごとの短編が繋がって全体が
一編の物語となります。


あ、「ストロベリーフィールド」って
ジョン・レノンが育った近くに実在していた孤児院だそうです。
夕食後サラサラあっというまに読めました。

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「偽姉妹」
2018年7月21日

図書館で順番待ちしていた
山崎ナオコーラさんの「偽姉妹」が読めました。



本当の姉妹との会話に嫌な感じがして
50ページくらい読んだところで
返してこようって思いました。
けど、1日たったらまた読んで
みようかなって思えて100ページ
くらいからでしょうか、なんだか
おもしろくなってスルスルっと読めました。


全編に顔の美醜がからんできて
容姿によってヒエラルキーや
マウンティングと、
そんなものかしら・・・
なんて感じることも多くありました。
私は、目鼻立ちというより
表情のいい人を美しいと感じます。


お話の中でエリック・サティの音楽を
背景みたいと主人公が言います。

サティは「家具の音楽」を提唱していて、
意識的に聞かれない音楽を目指したんだ


じゃまにならないしあきないとも。
同感です。
耳にさわらなくて穏やかで
音をはったり主張したりがなく
私もBGMでよく聴いています。


最終章、描かれている未来で
「小説を読もう」と電子書籍を
ダウンロードします。
私は電子書籍というものが読めません。
映像の文字は物語を読んでも
感情が入ってこないのです。
紙に印刷してある文字でなければ
感動はありません。


借りた本は、2週間は手元に
持っていてもよいのですが
私のあとにもこの本は
予約待ちのかたが多かったので
優先して読みました。
次の「紙に書いた本」が好きなかたに
読まれていることでしょう。
未来にも紙にインクで印刷された
書籍が読めますようにと祈ります。

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「砂上」
2018年7月17日

桜木紫乃さん「砂上」です。



桜木作品には、男の色気って
こういうことなのかしらんと思える
影のあるかっこいい男性が登場します。
「霧」や「ブルース」「裸の華」では
実社会ではかかわりたくない
(かかわってはいけない)危ない
男性が物語の軸となっていて
ゾクゾクしました。
ですが、この作品の登場人物は
なんだかふがいない男達でした。


小説家になりたいアラフォー女性が
作家デビューするまでの話で
厳しい女性編集者のアドバイスを受け
時に反発しながら自分の生き様
母や妹との関係を題材にした
私小説を書き上げます。


物語を生み出す作家の凄まじさを感じ
この物語自体が桜木さんの私小説なの
かしらんと、思ったりしました。


ちらかり放題の思考が、一本に
まとまってゆくときの心地好い感覚がある。


このくだりが爽快感がうかがい
知れてとても好きです。
私の仕事も、点と点を紡いでゆく
作業が多く、整った時の
気持ち良さと言ったらないですから。

2018年7月17日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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