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「となりの脳世界」
2019年1月2日

村田沙耶香さんの「となりの脳世界」は
あるあるがいっぱいのエッセイです。



芥川賞作家の作品ってどうも
その文学的な言いまわしに
疲れることが多いのだけど
スラスラサクサク読めます。


二人きりで遊んだことのない女性と
温泉に入った時、その人がお腹を
隠していたからつられてお腹を
隠す話はゲラゲラ笑いました。
「彼女が懸命に隠している部分を
丸出しにしているのが恥ずかしかった」
「彼女がおでこを隠していたら、
おでこを隠していた」と言うのです。
とても可愛らしい女性なのでしょうね。


昔使った歯ブラシとデートする妄想話や
旅行に行く時にあの袋と探す話
日常の瑣末な事柄も
村田さんが書くとおもしくなるようです。
速音読していると度々、吹き出して
ヘロヘロな音読になります。


共感できることも
理解しがたいこともあったけど
ほんわかしていて女性にオススメです。

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「ポストカプセル」
2018年12月25日

折原一さんの「ポストカプセル」は
15年遅れで届いた手紙をめぐるミステリーです。



ラブレター、遺書、礼状、脅迫状、
受賞通知、待ち合わせの連絡など
15年前の手紙が引き起こす
波紋を描いた一話完結小説です。
が、なんと最後にすべてが繋がり
謎がしっくりおさまるのです。
なので、一気に読まないと結末章で
わからなくなります。


図書館から借りた本が
今、手元にちょうど10冊
年末年始は図書館のお休みもあるから
貸出期間が長くて嬉しいなぁです。
私も人並みに師走でせわしなく、
なかなかゆっくりとは読めないから
この時期はエッセイを選んで
お正月は頭がこんがらがりそうな
長編小説を一気読みしてやるんだ!
うん!そうしよう!

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「ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係」
2018年12月19日

真梨幸子さんの「ツキマトウ
警視庁ストーカー対策室ゼロ係」は
ストーカーをテーマにした連作ミステリーです。



自身は被害者と思っているけれど
実は加害者だったりします。
加害者と被害者が紙一重って
言うのが怖いのです。


登場人物の心情や行動がとにかく
変わっていて理解しがたいものが
多かったのですが
「嫉妬と羨望の違い」は
ふうむ、なるほどでした。


昭和歌謡の「キャンディ」の
歌詞の解釈は、えー?そんな!
っと、びっくりです。
原田真二さん、可愛くて爽やかだったから
そんなエロテックでおどろおどろしい
内容だなんて思いもしませんでした。


人間関係が絡まりまくって
時間軸も飛びまくり
一気読みしないと見失ってしまう感じで
頭の体操になったはず(*^▽^*)。
ラストでどんでんもあります。

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「お別れの色」
2018年12月13日

図書館が2週間の調整期間で
ちょっぴり寂しかったものだから
休館明けはなんだかソワソワして
湿度をたっぷり含んだイチョウの
落ち葉で足を滑らさないように
気をつけながら走りました。


予約の本とお休みの間の新刊も
借りれて嬉しいなぁ
っと、外に出たら降っていて
傘を持たずに来てしまったから
図書館のティールームで
お茶して待つことにしました。
借りたばかりの本とハーブティで
過ごす時間なんと贅沢なことでしょう^^



吉本ばななさんのどくだみちゃんとふしばな
シリーズは毎回、読んでいます。
今回の「お別れの色」は愛犬との
別れの気配を感じるお話が
愛情深く綴られていました。


日常の中で寝たきりのワンちゃんに
見つめられて、見つめ返す時

その目に映し出される魂の姿しか見えていない。

もう、愛おしくていとおしくて
しかたないという感じで
人間同士だとなかなか叶わないですよね。
崇高な愛情です。


明日にも死ぬかもしれないっていう
ワンちゃんのためにふかふかのベッドを
用意して早く寝かしてあげたい
と思いながらつくのがこわい気もして
いつも犬と歩いた道をゆくという
くだりはもう大泣きです。


切々と静かな文章で丁寧に
心のうちが描かれていて
ほのぼのするエッセイでした。

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「京洛の森のアリス Ⅱ 自分探しの羅針盤」
2018年12月10日

前作「京洛の森のアリス」では
ありすが天職を見つけるための
自分探しをするのですが
今作では蓮が自分探しの旅に行きます。



ありすは着物で書店の仕事をしています(*^▽^*)
と言うことで今回は表紙が和装です。


うさぎの棗が言います。

「一人一人、持っている速度が
違いますから、誰かと比べるのは、
そもそもが愚かなことなんですよ」


こんな風に深い言葉が数多くありました。


芸者さんの紅葉さんがありすに言います。

「『自分が感じたことを丁寧に教えること』と
『自分の意識を押し付けてしまうこと』は、紙一重や。
もし、自分の意識を相手に押し付けてしもたら、
同時に大きな『責任』も伴う。」

相手のためを思っての助言は
自分の考えを押し付けることではなく
愛情と覚悟を持ってしなければいけない
と言うことでしょうか。


また、「天職は一つとは限らない」

ありすは、本屋さんの店員さんに
なりたいと望みそれが叶って書店を開きました。
私も読んで面白かった本を人にすすめたり
誰かの好きな本の傾向を把握していたら
きっと、これ気に入ってくれるはずとすすめたり
あと、感想を聞くのも好きです。
私もウェディングプランナーが
天職って思っているけど
本屋さんもありなのかなぁなんてことも思いました。

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「海の見える理髪店」
2018年12月5日

表題作「海の見える理髪店」は古い
邦画を見ているような懐かしさを感じました。



荻原浩さんのファンタジー小説は以前から大好きです。




理髪店の店主は主人公の男性が
いつかきっと来ると待っていた気がします。


鏡越しに海に陽が落ちてゆく
様子が私のまぶたにもオレンジの
色み強く思い描けるようでした。




「いつか来た道」は娘の立場で
あったなら誰もが母親に持つ思いと
母親が老いてゆくことを受け止める
痛みが描かれていて切ないことでした。
列車に乗る時、幼い頃の辛い思い出と
憎しみに決別できたのだと感じました。




「遠くから来た手紙」は
ユーモラスでありながら
戦争中の夫婦の優しい情愛に泣けました。




他のお話も穏やかで心あたたまります。
この作品は直木賞受賞とあって
出版当時あまりにも図書館の貸し出し
順番が長く借りることをあきらめました。
この秋、気持ちがめいっていた時に
図書館をゆっくり歩いていて
本棚で目にとまったのでした。
本も人も出会うべき時に
出会えるものなんだと感じました。

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「はつ恋」
2018年11月30日

村山由佳さんの「はつ恋」は
猫のユズちゃんとの生活
幼馴染の彼や親御さんのことなど
日常が綴られた自叙伝のような小説でした。



認知症の母親とのくだりではせつなくなって涙が出ます。


四季折々の自然を愛でる描写が繊細で素敵でした。

それら一つひとつが、まるで古い書物に
はさんでおいた栞のように、
ハナの記憶の一ページを開く手がかりになる。

虫の鳴き声や風のにおい、光の色で
懐かしいある情景が鮮やかに
蘇ることってありますよね。
毎年、繰り返される四季は
その都度に喜びと感動にあふれ
偉大なことです。


人生最後の恋は穏やかでありながら
ときめきもあって、胸の高鳴りは
はつ恋をした年頃から随分と
たっても変わらずにあるらしいです。

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「水曜日の凱歌」
2018年11月26日

乃南アサさんの「水曜日の凱歌」は
716ページかなりショッキングな長編でした。



残酷シーンが多くプロローグで早くも
リタイアしようかってチラリと思ったけど
本章に入ると夢中で読み切りました。


これは映像化したら残虐過ぎて
直視できないだろうと思います。
想像できないようなむごたらしい
表現が続くのですが、涙が
あふれてとまらなくなったのは
学童疎開していた子供たちが
東京に帰ってきたら焼け野原で
家族がいなくなっていることに気づくくだりです。
誰も迎えに来てくれなくて独りぼっちで
どこに家があったのかもわからず
行くところもなく保護してくれる人もいない
食べ物もなく寝るところもない
心細いなんてもんじゃなかろう
その子たちは生きることができたんだろうか。
そして、命を奪われる瞬間に
きっと愛する我が子を思ったであろう
親の無念さはいかばかりか・・・・・。
今文字にしていても涙が出ます。


拗ねてばかりいた主人公の少女
鈴子が僅か一年で目覚ましい成長をします。
逞しく生きてゆく女性達が多く描かれており
その中でも鈴子の母親のしたたかさが
なんとも言えないのです。
鈴子の母親からみた戦前から戦後を
読んでみたいとも思いました。


一億総懺悔なんて冗談じゃない
ほとんどの国民が望んだ
戦争じゃなかったはずです。
弱者(ほとんどの国民)ばかりが
地獄(それ以上かもしれません)の
ような苦しみを味わされた戦争は
たったの75年前のことなのですね。


戦争を経験した人がご高齢となり
風化されていくことも考えられます。
こんな風に文字で戦争の惨さ愚かさ
人々の苦しみを伝える小説が
あっていいと思います。
どうか愚かしい戦争が二度と起こり
ませんようにと強く強く祈ります。
オススメの一冊です。

2018年11月26日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「緑の花と赤い芝生」
2018年11月19日

伊藤朱里さんの「緑の花と赤い芝生」は
真反対の性格の27歳同い年の
嫁と小姑が交互に語ります。



万人に嫌われたくない杏里と
他者とのかかわりが苦手な
エリートでリケジョな小姑の志穂子は
互いを嫌悪し怒り、けん制しあいます。
そして、二人は共に自身の母親を
受け入れられない息苦しさを抱いています。

語尾や語頭をひょこんと動かすそれには、小動物がしっぽを振る動きさながら場をやわらげる効果がある。

志穂子は関西弁で可愛く話す杏里を
このように見ていました。
確かに方言キュートだったり
親密さを深めやすかったりしますよね。


が、杏里と志穂子が対峙するシーンで
ゆわふるキャラなはずの杏里が
尼子インターの渚としか思えない
話し方となって(たぶん声のトーンも)
本音を互いにぶっつけあいます。
このシーン好きだったなぁ気分爽快( •ॢ◡-ॢ)-♡。


さて、お話にはおもしろい言い回しがいっぱいありました。

呼び鈴ってどうしてこんな音なんだろう? クイズに正解したときの音。ピンポーン。急にやってきておいて、自分が正しいと言わんばかりに。ピンポーン。これが正解です。ピンポーン。拒むあなたが悪い。ピンポーン。

あはは!言いえて妙
昭和歌謡が出てきたりけっこう笑えました。


随所に赤と緑の印象的な対比があります。
あ、今日「緑のおばさんの日」なんだそうです。

2018年11月19日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「「違うこと」をしないこと」
2018年11月12日

吉本ばななさんのエッセイ
「「違うこと」をしないこと」を読みました。




毎日は選択の連続で、自身の
心の声を聴くことこそ大切と
ばななさんは言います。


すごく好きな考え方は

時間は、未来から過去に向かって流れている

普段、時は過去から流れて
今に至っているって感覚ありますよね。


ですが、確かに創作祝言を
組み立てる時にこういう感じあります。


例えば「お二人の新生活には
ご家族の応援があったら
きっと心強い」と感じた時
親御様にむけてのさりげない演出を
提案させていただくことがあります。
もちろん、お二人の個性にあったかたちでです。
結婚式は、お二人がお互いのお家に
受け入れられる良い機会ですから。


良い結婚生活にむかって
お二人と一緒に思いの伝わる
結婚式を創り上げてゆきます。


あちこち気になったところから
読んでいたら、あとがきで
「パパブブレの飴のように、
どこから読んでも」とかいてありました。
大変、自由に読みました。

2018年11月12日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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