「そして、バトンは渡された」 | 2019年7月11日 |
瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」は
音楽とご飯がなにかと良いアクセントになっていました。
一緒に食事をすること、会話することの大切さありますよね。
中島みゆきの「糸」を主人公の優子の
ピアノ伴奏で義理父が歌うシーンが好きでした。
優子が心に思う
「音楽は心や体に入っていくだろう」
というくだりがとても共感できました。
確かに、身体であっても心であっても
辛くて食事も励ましの言葉も受けとれない
そんな弱った時でも音楽に癒されること
元気づけられることってあります。
義理父が親になることは
「未来が二倍以上になること」と。
子供を持つって苦労も増えて
心配事も二倍に増えます。
けどけど、確かにそれを超える幸せがあります。
あと成長の足跡も我が子の記憶は
鮮明さをとどめる宝で、何度思い返したって
あきることも色あせるもありません。
優子の結婚で反対する父親の姿に
リアルを感じます。
親も人なので無償の愛でありたいのに
「してやったのに」ってなことにもなりがちで
まぁ、どこの家もケンカしてまう
それが、普通。
家族を大切に想う愛情あればこそ
幸せになって欲しいからこその衝突。
どっちの気持ちもわかるわかる。
それを説得する婚約者
そう!結婚ってそういう努力があって
絆が深まることがあります。
世知辛く心が痛くなる報道が
多い昨今、善良な大人に守られている
子どものお話に和まされました。
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「マジカルグランマ」 | 2019年7月8日 |
柚木麻子さんの「マジカルグランマ」は
図書館の予約待ちの間に直木賞候補になっていました。
主人公の74歳の正子さんが先輩女優の
アドバイスでおばあちゃんらしく
外見を変えることから始まります。
自信家で自己中の正子さんの
頭は案外と柔らかく行動力もあり
SNSなんかも器用にこなすのです。
現実的では無い設定ではありますが
過去から現代への社会問題をからめながら
夢、存在価値を求めるサクセスストーリーです。
ご近所やお友達や家族もいい人に
囲まれていて良かったなぁって感じました。
年老いても成長できるんだ!
年をとることに悲観的にならず
いくつになっても
過去より未来のほうが大事
と、前向きになれるお話でした。
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「アタラクシア」 | 2019年7月3日 |
金原ひとみさんの「アタラクシア」は
登場人物の生活や行動がすべて刺激的で
暴力シーンではちょっと苦しく感じました。
恋人間も夫婦間も友人同士も
えらく難しい言葉で議論しあってて
私には経験ないなぁーと考えたりです。
ですが、相手に対して
嫌だと感じることやここが好きも
言葉にしないと伝わらないことがあって
良い関係を続けてゆくには
会話することは大事なんだと思いました。
章ごとに主人公が変わる長編小説で
一つ一つの章が確立していながら
それぞれの絡みかたがお見事で
登場人物達の表と裏の顔が
おもしろく描かれていました。
そして、迎えた最終章はホラーと言ってよいでしょう。
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「人魚の眠る家」 | 2019年6月30日 |
今日、6月30日は人魚の日なのだそうです。
「人魚の眠る家」は殺人もミステリーもない
新鮮な東野圭吾作品でした。
「心臓死と脳死」をどう受け止めるべきかを
深く考えさせられました。
我が子を事故で亡くす親の気持ちは
想像もできないものです。
「子供への思い」あればこその 母親の狂気、
ただ同じ立場になったとしても
とんでもない経済力がないと
このような展開にはなりようがないだろうと感じました。
脳死や臓器移植については
求めて知ろうとはしないことでしたが
移植医療や海外での臓器移植の問題など
分かりやすく理解出来て勉強になりました。
悲しく辛い話でしたが
薔薇のふくよかな香りが漂うようなエピローグは
希望が持てるものでした。
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「トリニティ」 | 2019年6月27日 |
窪美澄さんの「トリニティ」は461ページ
現代、戦後、高度成長期やバブル期と
各時代の背景の描写も細やかなドキュメント風小説でした。
三人の女性がそれぞれ懸命に生きた姿に胸打たれます。
結婚、仕事、子供、さらには恋
得た物と手に入らなかった物があって
どの道を通っても後悔はあるのだろうと感じました。
がむしゃらに仕事をする母親に
愛して欲しいと心が満たされていないまま
成長した子息の語りのくだりが
泣けてなけて仕方なかったです。
子息が母親の生い立ちや
仕事を得ることの難しさも知ることから
自身が母親の影響を受けていることを認め
母親を許し愛おしさも感じ
さらに誇らしく思える時を迎える。
もう涙が溢れてとまりませんでした。
世代交代と栄枯盛衰
女の生き様、死に様が切ないくらい
見事に描かれていました。
2019年上半期読んだ中で1番でした。
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「晴れときどき猫背そして、もみじへ」 | 2019年6月24日 |
村山由佳さんの「晴れときどき猫背そして、もみじへ」は
もみじちゃんの母親の真珠ちゃん、さらには
おばあちゃんのこばんちゃんとの出逢いも綴られています。
村山さんに家の猫ちゃん達は
なんとも自由に山で遊びカエルとか
食べていてその野生っぷりにびっくりします。
母猫こばんちゃんが我が子の真珠ちゃんとの
子離れのシーンにはとても驚きました。
そして、村山さんとこばんちゃんとの
再会シーンには大いに泣けました。
猫は野生動物なんだから
予防接種や避妊、去勢手術で命を
コントロールしてはいけないという
当時の村山さんの同居人さんの考え方
そして、不幸な猫を増やさないために保護する
どちらの意見も猫への愛があってこそ
こういうくだりでは真顔になって読んでいました。
我が家のモコちゃんはもともと捨猫です。
拾った方がいてその里親に
なったのですがとにかく我が家では
溺愛して育てました。
そんなわけでモコは過保護のヌクヌクの
生活にあぐらをかき外には興味ない様子でした。
ところが、モコが半年の頃の予防接種に
行く日に脱走したのです。
探しても探しても見つからなくって
一晩中泣きながら探したけど
会えなくて・・・・
明け方には、一人で生きて行くことを
選んだモコの幸せを祈りました。
すっかり朝になって、通勤通学の時間帯
空気を震わすみたいな声が
どこからかして、それは私にしか聞きとれない声で。
ぐるっと探したら、植え込みの中から声がする
よっぽど怖い思いをしたのか呼んでも出て来なくって。
そりゃー、びびりやもんねーモコは。
走って家に帰って、好きなキャッツフードと
マタタビとを持って並べてみたところ
そうっと警戒しながら出てきたモコの
首根っこつかまえて鞄に入れて家に連れて帰ったわけです。
あったかいお湯で洗って乾かして
一緒にゴロンとしたこと
一生の中で一番幸せなお昼寝でした。
世界中のすべての猫が幸せで健康で
穏やかに暮らしてくれたらと願います。
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「ポルシェ太郎」 | 2019年6月20日 |
羽田圭介さんの「ポルシェ太郎」は
ハードボイルドと帯にはあるけれど
「おっちょこちょいの気づきまで」を
描いたお話という印象でした。
主人公がポルシェに乗ることで
仕事でもプライベートでも万能感を
持つようになるのですが
仮装通貨で1500万を失ったり
裏社会の男に危ない仕事をさせられたりとか
とにかくハラハラするのです。
SNSで承認欲求を満たす主人公がある時つぶやく
自分が、見られたい、見られていると
意識するものなんて、他人は全然見てないし
気がついてなんかいない。
反対に、見られているなんて
思いもしないものが、気にされ見られている。
という言葉はなるほどでした。
主人公が羽田さん本人に思えてしかたなく
ユーモラスでもありました。
車を持ったことがなくこれからもきっと
運転はしないけれど深夜にポルシェに
乗って首都高をドライブするシーンでは
きっと爽快なのだろうななんて想像しました。
追記
私は、徒歩や自転車なので毎日
季節の移り変わりを感じることが出来ます。
「あの庭で真っ白な紫陽花が咲く頃」
「ズッキーニの花、今日もみれるかなぁ」
と、毎日ルートを考えながら通勤は
身の丈にも合っていてけっこう楽しいものです。
キャットフードの個包装をかばんに
入れているので地域ネコちゃんとの交流もあります( •ॢ◡-ॢ)-♡。
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「彼女たちの場合は」 | 2019年6月17日 |
江國香織さんの「彼女たちの場合は」は
ナイーブな17歳と社交的な14歳の少女が
置き手紙をしてアメリカを旅します。
思春期の子供を持った経験のある身としては
母親の気持ちになってしまうから
時にもう心配に押しつぶされそうになったりします。
危ない目にも嫌な目にもあい
これ以上、怖い事態になったら
読み続けられないと怯える場面もあったけれど
祈る思いで読み進めました。
472ページの長編は、二人がいろんな土地に旅します。
青い空や異国の街の雑踏
埃っぽさや、新雪だったり、風
料理の匂いなど描写が豊かで
時々は、一生行くことはなかろうという
(飛行機嫌いにつき)土地に
降り立ったような気持ちになれました。
いいことが起こると「チーク」って二人が
ほっぺをくっつけるお約束ごとは可愛くてしかたなく
こちらまでハッピーになれました。
出会っては別れるその土地の人々が
纏っている匂いなんかも伝わってくるような
そんなお話でした。
2019年6月17日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
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「おやつが好き」 | 2019年6月10日 |
坂木司さんの「おやつが好き」は
おやつ愛にあふれていました。
読んでいると愛おしいおやつの思い出達が
ポコポコと蘇るのも楽しかったです。
銀座あけぼのさんの「二十四節季花」が
美味しいのはもち米だからなのだと書かれています。
KENさん&TOMOさんからいただいた
二十四節季花は美味しく楽しんだあと
箱も可愛いくてお針箱にしました。
熊本の海苔のお菓子の「風雅巻き」章では
「ふわんと漂う海苔の香り」とシンプルなことが
いかに素晴らしいかが書かれています。
以前、智史さん&枝里ちゃんのお母様から
熊本産のお海苔を頂戴しましたところ確かには絶品でした。
お菓子を度々擬人化していて
「顔見知りのお菓子」として六花亭の
「マルセイバターサンド」が紹介されています。
法大さん&美穂さんから北海道旅行のおみやげにいただきました。
エッセイの中の問いかけで
「死ぬ前に食べたいおやつは」と。
小学生の頃、お茶のお稽古の時に
いただく吉はしさんの上生菓子は
子供心にも「日本イチ美味しい和菓子だ」
って確信していました。
季節が表現されている
和菓子は芸術だと思います。
高砂屋さんの嵐山も見た目ホロホロ
なのに、しっとりのあの食感好きです。
あと、おでかけ編では長町にある金花糖さんの
白玉&あんみつは絶対のオススメです!モグモグ。
2019年6月10日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
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「マスカレード・ナイト」 | 2019年6月4日 |
東野圭吾さんは、ガリレオシリーズ
加賀シリーズなど多く読んできたのだけど
マスカレードシリーズは初読みでした。
「マスカレード・ナイト」は、みなホテルを
利用する時、仮面をかぶっている
洗練されたホテルマンはそれを詮索しないということらしいです。
実写化されているため
新田刑事は完全にキムタクの声に脳内変換しちゃいます。
サイドストーリーの部分が人間味あって
不倫や隠し撮り、女性のマウンティング行為
そこから、脅迫や復習と物騒なことへと発展してゆきます。
バラバラに見えるエピソードつながりあっていく
展開は、期待したとおりです。
名言がふたつ。
「1度疑いがはれた人は信用される」
「時計が正確すぎると余裕を持とうとしない」
これ、カギになります。
さて、牧村緑役を検索しても出てこない。
エキゾチックな美人は
映画では出てこないのでしょうか?
気になる。。。。
どなたか知っていたら教えてください。
2019年6月4日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »
淳ねえさんと同じく徒歩&自転車生活になって、通勤途中によそのお宅の庭を眺めたり、いつも会う散歩途中の老犬にアイコンタクトしてみたり、結構楽しいものです(^^♪
わかる!お散歩のワンちゃんに会うと、心の中で「ワンワンちゃ~ん♪」とか声かけている。今の季節、夏野菜の花が鮮やかで、かがみこんで眺めたりもしますの(^_^;)