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「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
2020年10月15日

岸田奈美さんのエッセイ「家族だから
愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」は
前書きからすでに泣けて
ずっと、鼻セレブをかかえて読みました。



切なかろう苦しかろうということが続いた岸田さん。
試練を乗り越えたからこその優しさがあって
その経験がユーモラスに語られています。
亡くなった父上への思い
車椅子の母上とダウン症の弟くんとの
家族愛が愛おしいことでした。
障害の人への寄り添いかたや
家族が末期癌になった時のサポートの
ありかたとかも考えさせられました。

 

障害のある人にも住みやすい社会を願っての
言い得て妙な言葉は

ハード(施設)は変えられなくても、ハート(人の心)は変えられる。

母上も明るく逞しく努力家でかっこいいのです。

 

金澤syugenでは神社さんや料亭さんに
ご案内の折に車椅子のかたにも安心して
過ごしていただけるよう工夫しておます。
段差のあるとこは4人で掛け声を合図に
車椅子を持ち上げるのですが
私の(腹の底から系)の掛け声が
可笑しいと段差を抜けた瞬間にご家族と
大笑いになったことがありましたっけ。

 

愛溢れる宝石のような言葉があちこちに
ちりばめられていて関西弁のリズムも
心地よくあっという間に読めました。

 

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金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
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「私は女になりたい」
2020年10月12日

窪美澄さんの「私は女になりたい」は勝ち組
バツイチのアラファー独身の美容皮膚科医が主人公です。



14歳下の男性が現われてからは年齢を気にして
自身を卑下したり、時には若さに嫉妬したりします。
年を重ねると失うものは多く
で、自信も削られていくのです、確かに。
だけど年齢を理由に恋や仕事、新たな可能性を
諦めるは残念なことです。

 

この小説の中で一個そりゃーやっちゃぁーいけない
っと、思ったのは恋人を自宅に招き入れているとこ。
いくら同居していないからって年頃の子息が
傷つくのはごもっともで青年の胸の内の痛みが
描かれているシーンでは涙しました。

 

パトロン的な男性の生い立ち、母親への思いに
影響されてのその後の思考(嗜好も)がグロテスクでした。
それでも、作品の読後感は爽やかで主人公女性の力強さは
カッコ良く応援したくなりました。

 

年を重ね良いこともあります。
些細なことであっても幸せを感じられるし
感動の振れ幅が大きくなりました。
感動をしなやかに表現できる女性ってのが理想です。

 

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「彼女が天使でなくなる日」
2020年10月8日

寺地はるなさんの「彼女が天使でなくなる日」は
子育てや親子関係、夫婦関係に悩みを持つ人々の
物語でそこかしこで様々な価値観がぶつかりあいます。



島には御利益があるという母子岩があって
そこに人々は願かけに訪れるのですが主人公は
パワースポットとか信用しておらず

願いを自覚した人間がどのように行動するか。

とうことに意味があると言うのです、なるほど。
飾り気なく正しくないと思った事に違うと伝える
主人公の熱い言葉がかっこ良かったですね。

 

誰もがすぐに立派な親になれるわけじゃない。

読んでいて我が子の幼い頃を思い出し、もっと
余裕持って相手をしてあげたら良かったと反省。
「個性です」なんて言葉で納得できないくらいの
暴れん坊の怪獣は寝顔と笑顔は天使だったけどね。
周りが無理解だと感じられ孤立感に悩み
仕事から遠ざかっているいることや
我が身をかまえないことに自分が社会から
取り残されていくよな焦りもありました。
夜泣きがひどく寝不足で、自分の時間が欲しいと
ひたすら願った心も体もしんどかったあの時期・・・・。
ですが、人生の中で幸せで尊い季節だったと今は思えます(*^^*)。
もう一度あの頃に戻って小さくて
可愛かった怪獣に会いたいっ!抱きしめたいっ!
っと、あいかわらずちっとも立派じゃない
母は思うのです(*^_^*)。

 

主人公を見守る島の人達がとにかくファンキーで
温かく逞しくて時々は、うるっときます。
子供にかかわることで悩む人にオススメ本☆”
読後感がとても良いです。

 

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「CAボーイ」
2020年10月5日

宮木あや子さんの「CAボーイ」は軽快なお仕事小説です。



主人公の男性の関西弁と標準語をフレキシブルに
使い分けている感じがかっこ良く
トランスジェンダーのシンガポール人女性の
話す言葉がおもしろく大笑いし
登場人物がみな個性的で楽しいのです。

 

ホテルや航空業界の裏側もお勉強できたキブン。
国の文化によっては膝まづくことが
「服従」の意になるというのは驚きでした。
作り笑顔の奥についてふれることが多いのですが
確かにCAさんのあの笑顔はチト怖い、
それでなくとも飛行機が怖くてびびっているとこに
あの笑顔をむけられるとますます緊張します。

 

コロナ禍で航空業界を取り巻く環境が大きく
変わり当初オリンピックで最終章という予定
だったのを書き直したということです。
作中の「捉え方次第で時間の経つスピードは
変えられる」という前向きの言葉が好きです。
登場人物達の夢が叶いますようにと読み終えました。

 

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「アスク・ミー・ホワイ」
2020年10月2日

古市憲寿さんの「アスク・ミー・ホワイ」は
オレンジデイズのあの電撃引退の俳優さんを
イメージさせるプロローグから始まります。
全編アムステルダムが舞台で現実の出来事や
人物や店名、作品名がそこかしこに出てきて臨場感があるのです。



人の能力はさほど変わらない
違いは勇気なんだという言葉が好きでした。
主人公が元俳優に影響され仕事にも恋にも
人との関わりにも積極的になってゆく姿に好感が持てました。

 

人が人を好きになっていくのは自然なこと。
そんな切なさ甘さを描いたボーイズラブは
物語の終わり方も良かたったです。
古市さんって毒舌キャラだけど
ピュアな人なんだろうなーっと感じました。

 

追記
いっこだけ気になるのが紙質というか
紙の色なのでしょうか、ペカペカ光って
読みにくく何度も何度も照明の角度を
変えながら読み進めるも目が疲れたぁーでした(^_^;)。

 

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「fishy」
2020年9月29日

金原ひとみさんの「fishy」は年齢も仕事も環境も
思考も異なる三人の女性の視点でかわるがわる語られます。



居酒屋で会う飲み仲間の三人は常にマウントの
取り合いをし、互いのことを冷酷に観察しあっています。
さらに会う度、理屈っぽく相手をやりこめて
お酒うまいですか?って感じでした。
良い関係を構築したく意見したりされたりは
あるけどこういうのは経験がないため
遠慮のない言葉に自分が言われている訳じゃないのに
息が詰まるようなしんどさを感じました。

 

終盤はこの虚無の繋がりに互いが救われて
前進してゆく女性達の姿が頼もしいことでした。

 

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「夢魔の牢獄」
2020年9月25日

西澤保彦さんの「夢魔の牢獄」は主人公が
過去へとタイムリープし他人に憑依し
その人の視点と感覚でその時間を体感できます。



同じ時間に何度もループしその都度、
憑依する身体が違うって、最初は
こういう体験できたらおもしろそう!
なんか思ったのです。
が、憑依する度にその人の感情も入ってくるわけで
主人公は心理的に同化できないから
大変なストレスになるのです。
そして、自分が知っている人柄じゃなかったり
知らなくて良かった人間関係や嗜好が
見えるのはしんどかろうと。
裏表ってことだけではなくやはり相手によって
見せる顔も境界線も違って当然ですから。

 

昭和の殺人事件の真犯人が令和になって
明らかになる結末、もしかしてなんて
思っていたけど・・・・・・
身も凍るような真実がありました。

 

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「やわらかい砂のうえ」
2020年9月22日

寺地はるなさん「やわらかい砂のうえ」に
ほっこり癒されました。



潔癖で真面目すぎ融通きかなさすぎの主人公が
自意識や他者とのつきあい方に何かと理屈っぽく悩み
いとも簡単にしょっちゅう傷つきます。
親しい人との意見の違いにしっくりこなくて
深刻になるのも若い女子にありがちです。

 

心の機微の描写が細やかで「脳内一人反省会」や
自身に突っ込みを入れる感じが
可愛らしく微笑ましいことでした。
そんな主人公がずいぶん年上で立場も考え方も
大いに違う素敵な大人女性3人と出会い
その中でぶつかったり刺激を受けるとこが
臨場感あって良かったです。

 

さらに主人公の父親のお人柄があたたかく
主人公の職場の所長さんとお父さんの
会話シーンがほのぼのしていて泣きました。

 

成長した主人公がラストでは自信を持って
一歩踏み出す姿は清々しく応援したくなりました。

 

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「雨の中の涙のように」
2020年9月18日

遠田潤子さんの「雨の中の涙のように」は
一話ごとに独立している七つの短編に
堀尾葉介が脇役として登場します。



各章は背景や家庭や季節や時代も様々で
中心になる男性が葉介に関わることで
過去の呪縛を乗り越えていく様が描かれています。
そして、自身のあずかり知らぬところで
人を救っていた葉介が最後の八つ目の
お話しで主人公になります。
それまでのお話しで葉介の切りとられた人生が
うかがい知れるものの、その生い立ちは
なおも衝撃的でした。
「もう、僕も救われていいのだろうか」という
言葉に切なくなりました。

 

思い出も時と共に消える。雨の中の涙のように。

葉介の過去の思い出にある心の傷が消えて
穏やかで幸せな人生をおくれますようにと
祈りつつ読み終えました。

 

追記
作中に様々な映画や映画音楽が登場してきます。
「リバー・ランズ・スルー・イット」は
モンタナの渓流でフライ・フィッシングする
風景がなんとも叙情的で美しく私の中で
映像が好き部門のナンバーワンです。
家族愛と兄弟の絆に感動して泣いたなぁ♫•*
で、若きブラッドピットが
とにかくかっこ良かったなぁ♫•*

 

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「ミッドナイトスワン」
2020年9月15日

内田英治さんの「ミッドナイトスワン」は
性同一性障害の女性(戸籍は男性)と
親から虐待され心に深い闇を持つ少女の
心のふれあいが描かれています。



衝撃的な日々の描写が続く中で
二人が心を溶かしてゆく季節は
なんとも愛おしく心があたたかくなり
ずっとこのまま幸せな時間が流れ
続けますようにと願いながら読み進みました。

 

作中で性同一性障害と言われる人々が
「なんで障害?」と疑問を持つところは
なるほどって思いました。
LGBTに限らずマイノリティへの
差別はなかなかなくならないものですよね。

 

終盤は、もうありえんっそんなっと泣きました。
読み終えて気づきましたが表紙は
草彅剛さんだったのですね。
少女の髪に白鳥の羽根を飾るシーンの
写真にまたジワ~っと涙が出てきます。

 

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