金澤syugen
金澤syugen オフィシャルサイト
オフィシャルサイトはこちら 金澤syugen オフィシャルサイト
最近のエントリー
最近のコメント
アーカイブ
ブログ
 
「星々たち」
2021年9月17日

桜木紫乃さんの「星々たち」は重くて暗い
切なくもある親子三代の女性の人生模様が
昭和から平成の時代を背景にノスタルジックに描かれています。



不甲斐なくずるかったりだらしない男に
翻弄される不器用な女性。
子供より大事な愛ってのはまったく理解できず
嫌悪しかありません。
ですが、靄がかかるようなぼやっとした艶かしく
不快で不衛生な臭いまでするような世界観に
たまらなく惹きつけられるのです。

 

寒々しい空気感と幸薄い女性達の血が
時間や場所を超えて繋がる構図は圧巻でした。
決して明るいストーリーではないのに最終章では
薄明るい光がさしこみ読後感は良かったです。
やはり桜木紫乃作品が好きです。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年9月17日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「やさしい猫」
2021年9月14日

中島京子さんの「やさしい猫」は猫ワードの
タイトルと装幀の印象からほっこりほのぼのな
ハートウォーミング系と思い読み始めたら
ズシンと重たい社会派小説でした。



事情があって在留資格が切れたスリランカ出身の
男性が入国管理局に収容されます。
男性には日本人の奥さんとその娘の高校生の義理の子供がいます。

 

入国管理局では病気になっても外部に閉ざされていて
医療を受けることができないや出身国に帰らない
(帰ると5年は日本に入国できない)限りは
収容期間に終わりがないのだというのです。
この春のスリランカ人女性の事件の報道が
ピンときていなかったのだけど今作を読んで
こういうことなら起こりうると感じました。

 

男性は良き家族と経済的な援助、そして
人との出会いにも恵まれていて弁護士さんを
立てて協力者が物証を集めてができたけど
ほとんどの場合、そういう展開にはならないそうです。

 

「やさしい猫」はシンハラ民族に語り継がれる
猫と鼠の民話なのですね。
猫と鼠はマジョリティとマイノリティの比喩では
なかったのかと高校生が語りあうシーンがあります。
シビアな問題だけど終始わかりやすく
温かみのある言葉で紡がれていました。

 

度々、追い詰められていく家族のことが
心配で夜更かしして一気読みでした。
道のりの険しさったらなかったけれど
お話の〆には素敵なサプライズもありました。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年9月14日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「氷柱の声」
2021年9月11日

くどうれいんさんの「氷柱の声」は
登場人物達へのいっぱいの愛情が感じられるお話でした。



東日本大震災と関わった7名の20代の若者への
取材をもとに等身大の言葉で紡がれていました。
取材(著者さんも物語の主人公も)での
「その人の話したいことを聞く」という
姿勢におおいに好感が持てました。

 

著者さんは俳句や短歌が専門のようで
独特のユーモアある情景描写
そして、オノマトペの数々も可愛らしいのです。
芥川賞の候補作になる本って読みにくくって
苦手なんだけどするする読めました。
「震災もの」ではないという意味も私なりに理解しました。

 

氷が春にむけて時間をかけて溶けていくような
気持ちの変化を「氷柱の声」と表現されたのでしょうか。
明るい未来を感じさせてくれる好きなお話でした。
オススメです。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年9月11日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「ヴァイタル・サイン」
2021年9月8日

南杏子さんの「ヴァイタル・サイン」は医療現場の
裏側を描いたちょっぴり恐怖な医療小説でした。



主人公が激務と人間関係で追い詰められ
疲弊してゆく様子に息苦しくなりました。

 

肉体労働と頭脳労働には対価が払われるが、
看護師たちの感情労働には払われていない。

患者さんからは天使であることを求められ
自身の感情をおさえなくてはいけない
医療職や介護職のかたがたには本当に頭が下がります。

 

最終章で、働き方改革や改善がすごい速度で
すすんでプライベートでも明るい兆しを
感じさせてくれてホッとしました。

 

テレビドラマで医療モノってどうも
リアル感なくて観ないのですが今作は
現場を知り尽くしている作者さんの筆力あって
お話に入り込んでの一気読みでした。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年9月8日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「ブランド」 
2021年9月5日

吉田修一さん「ブランド」 はエルメスや
ティファニー、サントリーなど錚々たる
ブランドの広告の短編小説&エッセイで
今まで読んできた吉田作品からは感じ取れない
世界観や人となりが伝わって来るようでした。



吉田作品との出会いは「悪人」「パレード」で
ボウズに貸してもらって読んだのがきっかけです。
今作で神宮外苑について書いている章で

ベンチにちょこんと座り(略)
たとえば殺人を犯した登場人物のセリフや
不倫中の女性の気持ちが、ころんと頭の中に落ちてくるのだ。

そっか、今まで読んだ小説のことを思い返し
作者自身も経験のなかろうことを読み手の
腑に落とし込んでくれた言葉達はそんな風に
生み出されていたんだなぁ。

 

東京のバーを舞台にしたエッセイが
続く章があって何軒ものおしゃれそうなバーが
出てきてどんな感じなんだろうって店構えとかを
想像するのも楽しかったです。
あ、この中でウェスティンホテルのバーで
飲んだことありますヾ(*・∀・)/。

バーで酒を飲むという行為は、
どこか本を読むのに似ている(略)

これすごーくわかります。
好きだったはずの作家さんなのになんだか
今日はページがすすまないということもあります。

 

エッセイで吉田さんがお酒を飲まない
女性にはがっかりするって書かれてあって
思わず「呑めます!たらふくいけます!」と
挙手でこたえたいキブンでした。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年9月5日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「星のように離れて雨のように」
2021年9月2日

島本理生さんの「星のように離れて雨のように」は
傷を負っている人の繊細な心の動きを丹念に描いた小説でした。



宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と並行し話は進み
どこかミステリーを読んでいるような趣もあります。

 

コロナ禍を背景に人生の岐路に立つ
女子大学院生が主人公です。
父親の失踪や親族との辛い記憶が深い
心の傷になっていてその囚われがあっての
生きづらさをヒリヒリ感じるのです。
甘やかさと辛辣さが交互に襲ってきて
読んでいて苦しくなることもありましたが
言葉の柔らかさで読み進めます。

 

他人と関わることで自分が見えて
くるってことがあると感じました。
少しずつ明るく温かい方へ進んでいく終盤にほっとしました。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年9月2日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「猫弁と鉄の女」
2021年8月30日

大山淳子さんの「猫弁と鉄の女」は猫愛と
人情あふれるファンタジーでした。



猫に限らず人にも動物にも優しい
猫弁と呼ばれている男性弁護士のピュアさがいいのです。

 

猫弁が猫を連れ金沢を訪れて
「猫に優しい街だな」と感じます。
金沢の街の描写が穏やかなことでした。
浅野川の河原や金沢刑務所
そして金沢弁が出てきます(ू•ᴗ•ू❁)。
「だっちゃかん」「だらぶち」は実際は
ご年配のかたであってももう話されることの
ない言葉なのですがユーモラスに描かれいて
方言のあたたかさが良き演出でした。

 

悪い人がいなくってみなが穏やかで
猫も犬もカメレオンも幸せそうでほっこりしました。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年8月30日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「仮面」
2021年8月27日

400ページ超えの伊岡瞬さんの「仮面」は
次々と事態が動くサスペンスフルな展開で
どんどん読み進んでゆけました。



職場での女性蔑視やエゴイスティックで
残酷な手口の殺害などが細かく描かれていて
気分の良いお話ではないです。
そして胸の内に細かいひっかかりがつもってゆきます。

 

読字障害のハンデがありながら作家や
評論家として華々しく活躍するカリフォルニア
留学経験あるハンサムな男と、
彼を影に日向に支えさらなる高みを
目指す名参謀の男が事件とどこで繋がってくるの
だろうと思うと目が離せません。
最終章で細かいひっかかりがすっきりほぐれました。

 

「どんなぴかぴかの仮面をつけようと、クズはクズだ」
被害者も加害者も刑事もみなそれぞれの
衝撃の仮面を持っていたのです。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年8月27日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「Phantom」
2021年8月24日

羽田圭介さんの「Phantom」の主人公の
OLは四六時中、運用のことを考え
毎夜、ディトレードに勤しみ、あらゆる節約をしています。
片やその恋人の男性は物質経済から離れて
新たな人間的価値を見出そうとする思想団体に陶酔してゆきます。



思想団体の中で洗脳されたり
追い込まれてゆく様子を読みながら
昭和の学生運動や1990年代の宗教団体の渦中は
こういうことだったのかしらんと読みすすめました。

 

綺麗な女性信者が集められ「優秀なDNAを
遺す目的の分科会」というのは
幹部の男性のためのもので、
それでも洗脳されていく女性達
疑問を持ったがために厳しく罰っせられる女性
残虐な描写もあってドキドキ怖かったです。

 

ある日、主人公は参加した金融セミナーで
出会った株などで資産を増やし続けている
資産1億5千万の高齢者の様子に既視感を持ちます。
数日前にテレビで観た生活保護受給者の暮らしが
重なって見えるという箇所はゾワっとしました。

 

「お金」は人を惑わすPhantom(幻)ということでしょうか。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年8月24日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ

「あの夏、僕らに降った雪」
2021年8月21日

ピュアな高校2年生の夏休み恋物語を
私が読んでも良いのか?楽しめるのか?
っと、思いつつ試しに少し読んでみたら
二人の会話が軽妙愉快でおかしくて
何度も吹き出してのイッキ読みでした。



比嘉智康さんの「あの夏、僕らに降った雪」は
難病を煩う女子高生とかかわる人達が描かれています。
病気の進行と死が日常のすぐそばにあるという
深刻な状況なのだけど女子高生の明るさが可愛らしいのです。

 

「愛とは、ちゃんと残しておくこと」
これはホントに本当だと思う。
素晴らしい瞬間、感動の瞬間の
思い出を残しておくのは大切なことですね。

 

リズムがあって読みやすくいっぱい涙して
最終章は爽やかな風景と希望があって
アンチエイジィングできたキブンになれました。

 

.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°
金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
.o○° .o○°.o○° .o○° .o○° .o○° .o○°.o○°

2021年8月21日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

コメントをどうぞ